【はじめに】

 

高卒採用、と一言で言っても「公開求人」と「指定校求人」の二種類があります。

高卒採用の求人票を、「いつものように」「なんとなく」公開求人にしていませんか?

ここでは、二つの求人の違いとそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

 

 

【「公開求人」とは?】

 

 

公開求人とは、高校を選ばず広く公開して募集をかける採用方法です。

公開求人を出すと、ハローワークの運営するサイト「高卒就職情報WEB提供サービス」に掲載され、全国の高校の先生が見ることができます。

 

この「高卒就職情報WEB提供サービス」は、職業紹介を行うことが一般的である「学校」が「ハローワーク求人を利用する」ということを前提として構築されたシステムです。

学校の先生は、新年度に提供されるIDでログインし、このサイトを見ることができます。

 

ある高校では、生徒は学校の進路指導室などで見ることができるようにしているそうです。ですが、IDを生徒には教えていないので、生徒は家でのパソコンでこのサイトを見ることはできません。

 

先生がこのサイトを見て生徒に紹介するケースもあります。

また、公開求人にすることで、直接採用活動をしていない高校からも職場見学の問い合わせや応募が来る可能性もあります。

 

 

≪公開求人の方が良い場合≫

・どこでもいいから、まずは人に来てほしい企業

・幅広く募集をかけたい企業

・広く色々な学校から優秀な生徒を集めたい企業

 

このような企業は、公開求人の方が良いでしょう。

 

 

【「指定校求人」とは?】

 

 

では、指定校求人とは、どのようなものでしょうか。

 

指定校求人とは、「求人票を出す予定の学校を指定する」ということです。

高校側からすると、「あなたの高校(と数校)にしか求人票を送らないです」と言われていることになります。

 

高校側も競争率が少ないことが分かり、より生徒を推薦しやすくなる?

という意見もあるようですが、今は売り手市場なので判断しづらい状況です。

 

先生のハナシ

「生徒には『指定校求人』だとは明確には言っていない」との先生の話も。「生徒の選択肢にその企業が入ったら、その時に『それは本校生のための求人だよ』とは言うかもしれない」と。「指定校があるって言うと、そこから選ぼうとする生徒も出てくるし」とも。

 

なるほど、納得ですね。

 

指定校求人を受けた高校では、校内選考などを行った後に応募者の学校推薦をします。

つまり、その求人が5人だった場合、それは「あなたの学校からは5人受けてもいいですよ」と言われているに過ぎないので、希望生徒が10人いた場合、校内選考で5人に絞られます。

 

ちなみに、指定校求人にしたからといって、その学校から必ず受験生が送られてくるということではありませんので、ご注意を。

 

≪指定校求人にした方が良い場合≫

・馴染みや付き合いのある学校に出す求人票

・就職指導がしっかりされていて、評判がいい学校から人が欲しいと考えている

・必ず1名は欲しくて、その学校で学んだ生徒ならだれでも大丈夫!と考えている

・今後継続的に生徒を送って欲しいと考えている

・指定校求人にしても、生徒が必ず来るとは限らないと理解している

・どんな生徒が来ても、自社で一から育てるという覚悟がある

・専門的なスキルが必要な職種の採用を考えている

・募集人数が少ない企業

 

このような場合は、指定校求人の方が向いていると言えます。

 

「指定校求人」というのは高校と企業との信頼関係で成り立っているのですね。

 

 

【「公開求人」と「指定校求人」のメリット・デメリット】

 

 

公開求人

指定校求人

メリット

・幅広い人材との出会いが期待できる。

1年間ハローワークの運営するサイト「高卒就職情報WEB提供サービス」に公開されるので、遠方の高校の生徒にも見てもらえる。

 

 

・生徒を優遇して紹介してもらえる可能性が増える。

・不要な選考をしないで済む。

・求める人物像や社風を理解したうえで、適した生徒を推薦してもらえる。

・学校と企業が信頼関係を築きやすい。

・公開求人に比べて内定が取れやすいイメージを持ってもらえる。

デメリット

WEBに求人票を掲載しているだけでは、自然に検索してもらえるわけではなく、応募を得るためのPR活動は必須。

・高校生や先生、保護者への働きかけが必要。

 

 

 

 

・人材との出会いの場が限られる。

・高校生を選べない(不採用を出しにくいという慣習がある)。

・高校との信頼関係を作る必要がある。

・募集人数の3倍までの学校にしか募集が出せないという文化がある(地域によってこの慣習が強いところとそうでもない地域がある)。

・必ず応募があるとは限らない。

・人数に限りがある。

 

 

高校の進路指導担当の先生が目を通して生徒に勧めていく順番は、基本的には、「生徒の希望」と「求人票の条件」。これが大前提のようです。

でも、これは今が売り手市場だから?との先生の声もありました。

その後は、

①指定校求人

②公開求人(持参)     

③公開求人(郵送)

④公開求人(WEB)  

 

①~③は、一つのファイルにまとめられているという高校も。④はもう一つのファイルへまとめられていますが、「生徒が家から通える範囲の求人のみ」という高校の話もありました。

 

 

先生のホンネ

「コミュニケーションが苦手そうないわゆる器用でない生徒とかは安心できるところに送りたい、というのは内心あるけれど、でも、指定校求人だからというよりは、それまでのお付き合いや、社風などが分かるところに送るかな」と。

 

先生の気持ちは子どもを思う親と同様に、その生徒が卒業した後の生活の安心や幸せを想っているのですね。

 

 

指定校求人を出した後に、人が集まらなければ公開求人に切り替えることはできます。

※給与や勤務地などの条件等が変わるのであれば、再度ハローワークにいって新しい求人票を作成する必要があります。

 

 

求人票申込みの書類提出の際、求人区分「公開希望」欄の「事業所名を含む求人情報を公開する」にチェックをすると、「公開求人」となります。

同様に、「求人情報を公開しない」にチェックをすると、ハローワークの運営するサイト「高卒就職情報WEB提供サービス」に掲載されない「非公開」の求人情報となります。71日以降求人票を受け取り、特定の高校へ持参・郵送することで「指定校求人」として募集することができます。

 

 

【まとめ】

いかがでしたか?

 

今回は高校の先生から伺ったホンネも交えながら「公開求人」と「指定校求人」について解説しました。

それぞれのメリット・デメリット、また自社の考え方によって向き不向きがありますので、参考にして頂ければ嬉しいです。

 

 

 

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