【はじめに】
採用をする際に、前もってきちんと採用計画を立てていますか?
採用を成功させるためには計画性が不可欠です。
今回は、採用計画を立てる前にすることや作り方、ポイントや注意点などについて解説します。
【採用計画とは】
皆さんの会社では、きちんと採用計画を作っていますか?
「今は人手が足りているから」「足りなくなったら募集をかけよう」「その場の状況に合わせた採用活動をしているから」などと思っていませんか?
そもそも採用計画は、なぜ必要なのでしょうか。
採用計画は、会社が求めている人材を必要な時期に獲得するためのものです。
もっと具体的に言うならば、「会社の事業計画をもとに」「どの部署に」「いつ」「何人」「どのような人を」「どのような方法で」採用するかなどの計画を立てることです。
採用計画がなければ、求める人物像や選考基準などを選考者全員が具体的に共有することもなく、採用コストが適切なのかなどもわかりません。
短い選考期間で計画的に、求める人材を効率的に採用し、また採用活動の進捗度を可視化するためにも採用活動は必要不可欠なものなのです。また、採用計画をしっかりと立てると、スムーズでミスマッチの少ない採用活動を進める効果があります。
【採用計画を立てる前にすること】
採用計画を立てる前に、事前に準備するべきことがあります。
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近年の求職者の傾向
当然のことですが、採用市場の動向は毎年変化しています。
業界の動向の他、求める人物像がどのような方向を目指して就職活動をしているかなどを情報収集する必要があります。
厚生労働省から出されている有効求人倍率をもとに、さまざまな調査やアンケートなども参考にして、自社の業界の状況を把握しましょう。
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新卒採用スケジュールの確認
新卒、と一言で言っても高卒、大卒などとさまざまです。
特に高卒採用には厳しく定められているルールがあるので、しっかりと確認しましょう。
大卒などの2020年卒までの採用スケジュールは、日本経済団体連合会(経団連)が定めた就活ルールに従って決められていましたが、実際はスケジュールを前倒しにする企業が多い状態でした。
「優秀な学生を他社に採られる前に採用したい」という企業の考えからです。
そのため、2021年卒からは、経団連主導でなく政府が主導となって就活ルールを定めることが決定しました。しかし学生の混乱を避けるため、しばらくの間は(2023年卒も)現状の就活ルールが適用されることになっています。
学生は、毎年行われる就活のイベントに沿って動きます。
自社が採用したい学生が通う大学の日程なども事前に調べておきましょう。
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競合他社の調査
近年、少子高齢化が進み労働市場が変化しています。求職者側の売り手市場になっており、採用活動を行っても予定した人数の人材確保が難しい状態の企業が多くなっています。
競合他社の分析は、競合企業との差別化を図り、希望する人材を確保し、採用市場のなかでの自社のポジションを理解するために行います。
具体的には、競合他社の「採用手法」「ターゲット」「賃金」「採用人数」なども把握し、自社と比較して問題点や改善点を見つけることが大切です。
ここでいう競合他社とは、業界が同じというよりも、採用ターゲットが似ている企業のことを指します。
「業種」「職種」「勤務時間」「地域」など、ターゲットの希望する内容によっては、あらゆる企業が競合となる可能性があるのです。
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採用する職種と人数を決める
業務量から必要な採用人数を算出し、何人採用すればよいのかを考えます。
基本的には、「その業務に必要な人数」から、「現在その業務に携わっている人数」を引き、「不足している人数」が今回採用すればよい人数になります。
ただ、見積もった人数分の採用をおこなった場合に、会社の目標とする利益を確保できるかを検証しましょう。
利益の確保が可能だと判断される場合は、見積もった人数を採用人数として設定することができますが、利益の確保ができない場合は、業務量などを見直し、利益を確保できる採用人数を再検討する必要があるでしょう。
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経営者・担当部署へのヒアリング
経営者や担当部署にとって、求めるスキルや能力が全く同じということはありません。
経営者だけでなく、それぞれの部署でヒアリングをしましょう。
★確認しておくヒアリング内容★
・スキル(専門知識や資格など)
・能力(コミュニケーション能力やストレス耐性能力など)
・経験(これまでの就職経験や学生時代の経験など)
・行動特性(性格、価値観など)
・勤務条件(待遇、勤務場所、勤務時間など)
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採用予算を決める
企業が人材を雇用する際に発生する、必要となる全体としての採用予算を定めていきます。
採用コストには、採用活動を社内で担う場合に発生する費用を示す「内部コスト」と、採用活動において社外に支払う費用を示す「外部コスト」の2種類があります。
★内部コストの例★
・採用担当者の人件費
・会社説明会や面接会場までの交通費用・宿泊費用
・社内面接担当者が面接に必要な時間あたりにかかる費用
・内定者の引っ越し費用
・内定者懇親会などでの交際費用
・人材を紹介した社員へ支払うインセンティブ(自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう、リファラル採用の場合)
★外部コストの例★
・人材紹介会社に支払う費用
・会社説明パンフレットなどの製作費用
・地方採用などでの移動費用
・オンライン面接のツール利用費用
・フリーペーパーへの求人広告の掲載費用
・転職サイトなどへの求人広告の掲載費用
・会社説明会を実施した際の会場レンタル費用
などがあります。
例えば、過去の採用事例を参考にしつつ、応募単価や採用単価の目標を決定しましょう。
関連コラム「今の時代、採用コストはかかるもの?できれば削減したい!を解説」も参照ください。
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採用手法を選定する
そして採用手法を選びます。
以前はハローワークだけで募集をし、それで事足りていたかもしれませんが、人手不足が叫ばれる昨今、さまざまな手法を用いなければ採用することが難しい時代です。
求人媒体、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、SNS採用など、採用手法は多様化しています。
それぞれの特長を理解した上で、手法を選びましょう。
【採用計画の作り方】
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採用目標
事前にヒアリングして見えてきた、現場で起きている課題や今後の経営方針を踏まえ、どのような人材を採用することが望ましいのかを、具体化します。
自社が求める人数の他、人物像や具体的な業務経験、能力、カルチャーマッチ、勤務条件などを明確にしましょう。
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採用方法
書類選考や筆記試験、面接などと内定までの流れを決めていきます。
流れだけでなく、「どのような内容の問いかけをするのか」「どのような基準で合否の判定をするのか」など、あらかじめ具体的に決めておく必要があります。
もちろん、選考日や期間についてもスケジュールで確認を。
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評価方法
選考ごとの評価の方法と、合格・内定基準の設定をします。
特に面接選考の場合は、筆記試験のように最初から試験結果が数値で浮き彫りにはならないので、しっかりとした基準をあらかじめ作成する必要があります。
そこで重要なのが、評価点とそれぞれの状態(状況)を言語化して合格ラインを具体的に設定する、面接評価シートの作成です。
面接評価シートがあることにより、履歴書などでは見えない応募者の人柄が可視化され、面接官の「主観に基づく評価」の殻を破り、応募者を客観的に評価することができるのです。
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採用スケジュール
いつまでに何名採用するのかを決め、最終から逆算して採用活動の流れを明確に組み立て、採用活動の開始から終了、入社までのスケジュールを可視化します。
「採用計画の策定」→「求人媒体への掲載」→「募集」→「選考」→「採用決定」→「入社」という流れが一般的です。
また、それぞれの開始時期と期限も明確に設定しましょう。
・掲載期間(媒体掲載、就職フェア参加など)
・選考期間(第1次採用の筆記試験、面接など)
・研修期間(内定者研修など)
補足ですが、求人媒体への掲載から面接実施までに必要な期間は、最低でも1ヵ月、入社までは約2ヶ月程度はかかると見ておいた方がよいです。
採用スケジュールは、中長期と短期の2つで考えていくのがおススメです。
中長期のスケジュールは企業目標実現に向け3~5年でするべきことを明確にして組み、短期スケジュールは1年単位で組んでいきましょう。
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雇用形態を決める
正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、多様な雇用形態の特長をうまく組み合わせて人員確保をしなければなりません。
以下に、それぞれの雇用形態の特徴についてまとめました。
★正社員★
企業にとって正社員は、長期的に活躍することを視野に入れられるため、任せられる業務内容が広がります。また、人材育成のための投資も行いやすい点がメリットです。
★契約社員★
契約社員は、人件費を抑えて採用できる点がメリットと言えます。
専門性の高い人材を一時的に採用したい場合などにも、有効な雇用形態です。
★派遣社員★
派遣社員も契約社員同様、一時的に専門性の高い人材を確保しやすい点がメリットです。
契約社員との大きな違いは、企業側と「直接」雇用にあるのが契約社員であるのに対し、派遣社員は、企業が派遣社員ではなく「派遣会社」と雇用契約を結ぶ点です。
★アウトソーシング★
アウトソーシングとは、企業の業務の一部を社外に委託するサービスです。
業務を委託して企業側が報酬を支払うことで成立するため、雇用契約ではありません。
社員を新しく採用するよりコストも抑えられ、一時的に業務量が増える場合に対応しやすい点がメリットです。
ただ、あまりにも業務委託する量が増えると、正社員を雇うよりコストがかかることもありますので、注意が必要です。
雇用契約の種類によって労働時間や契約期間、給与条件などが異なります。
また、雇用形態が違うことで、企業側が管理することや意識しておくべきことも変わってきますので、雇用形態の違いを理解した上で労務管理や採用活動を行いましょう。
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内定者のフォロー方法を決める
内定者フォローをしっかりと行い、内定辞退を減らすための対策は、採用の目標を達成するのに必要不可欠です。
内定者のフォローをしっかりと行うためには、内定者の悩みごとや相談に乗る体制を作っておく必要です。
内定者交流会を開くなども含めて、内定者のフォロー方法を決めましょう。
【ポイント・採用計画を立案した後の注意点】
採用活動には、関係各所の協力が不可欠なので、採用活動の状況を配属予定部署のメンバー間で共有し、協力体制を構築することが大事です。
ここを疎かにしてしまうと、スムーズな採用活動は難しいでしょう。
また、自社採用サイトや採用ページ、SNSを忘れずに定期的に更新しましょう。
求職者の大半は、ホームページやSNSなども確認した上で応募するかどうかを判断しています。
自社が求める要件や自社の魅力が、求職者に正確に伝わるような内容を発信することが大切です。
そして、採用計画は一回決めて終わりではありません。
実際に行動してみて成功した点や、計画どおりにいかなかった点などを定期的に振り返り、採用計画に更に磨きをかけましょう。
定期的に見直すことができるように、「採用計画を見直す時期」も、あらかじめスケジュールに組んでおくとスムーズかもしれません。
【まとめ】
いかがでしたか。
人手不足が叫ばれるこの時代、自社の求める人材をスムーズに獲得するためには、無計画に成り行きに任せて採用活動をしていては、せっかくの努力が徒労に終わる可能性が大変高いです。
しっかりとした採用計画を立て、採用を成功させましょう。
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