【はじめに】

 

人手不足が叫ばれる昨今、即戦力となる人材を採用したい、という企業の気持ちとは裏腹に、そのような人材は採用市場にはほとんど見られないようです。

今は、戦力のある社員が欲しければ、会社で一から育てるのが当たり前の時代。

社員を将来的に戦力となるよう、きちんと育成していくことが求められるのです。

この記事では、育成の第一歩である新入社員研修のやり方等について解説します。

 

 

【新入社員研修の目的と内容】

 

 

新入社員研修の目的は、主に三つあります。

 

  • 学生と社会人の違いを理解し、社会人である自覚や責任を持ってもらうという意識改革

新卒の新入社員は少し前までは学生であったため、学生気分が残っている場合もあります。

もちろん学生の時にアルバイトの経験はあるかもしれませんが、社会人は学生のアルバイトよりも大きな責任を負います。

社会人というのは、「会社の名前を背負っていること」「自分の行動が多くの人に影響を与える可能性がある」ということをしっかり認識させて、社会人としての自覚を促していくのです。

社会人と学生の違いを知り、チームとして働くことについて理解をさせましょう。

 

 

  • 業務遂行に欠かせないビジネスマナーの他、基礎的なビジネススキル

ビジネスマナーや基礎的なビジネススキルの他、職種によっては、専門的な知識や技術の獲得も目的に含まれてくるでしょう。

また、勤務中の身だしなみから社内手続きの進め方など、社内で設定された独自のルールがあります。出退勤や外出時のポイント、社外でのマナーなど職場のルールを学びます。

これらもしっかりと理解させることは自社特有の雰囲気や企業理念への理解を深め、社内のコミュニケーションを促します。

 

ビジネスマナー

・座席に座る順番(席次)

・お茶を出す順番

・名刺交換の仕方

・電話の取り方

・服装

・挨拶の仕方

・正しい言葉遣い、言い換え、敬語の使い方

・立ち居振る舞いといった基本動作

・ビジネスマナーの基本

・話の聴き方、トークの練習

・来客応対、訪問の際のマナー

・社内の一員としての振る舞い方

・コミュニケーションの取り方

 

ビジネス基礎スキル

・仕事の進め方

・報連相

・コミュニケーション

OA

・ビジネス文書

・コンプライアンス

SNSの使い方など社会のルール

・仕事の受け方

・報告の仕方

 

職種による必要なスキルや知識

・職種によって身につけておくべき力

・専門知識

・企業理念を正しく理解する

・会社組織の構造を知る

・企業活動の流れ

・仕入れや在庫管理の基本知識

・販売についての基本知識

・売上、コスト、利益について

・財務諸表の基本知識

 

独自の社内ルール

・経費精算の仕方

・就業規則など

・休みの日の連絡方法

・有給休暇を取得する流れ

・社内のポータルサイト(社内情報を共有しているサイト)の見方

・社内システムの使用方法(タイムカードや業務連絡ツールなど)

 

 

  • 新入社員同士のより良い人間関係の構築

新入社員同士が同じ研修の場で学ぶことにより、コミュニケーションが促され連携が強まるため、研修後も互いに仕事の相談や、ノウハウの共有ができる関係性へと発展する可能性があります。

 

 

コラム「採用の鍵は「人材育成」!新人から管理職まで全社員でスキルアップ!」も参考にご覧ください。

 

 

【研修の形態】

 

 

一言で「研修」と言っても、研修形態はさまざまですが、主に以下の形態があります。

 

  • 講義

こちらは講師が前に出て話し、大勢の新入社員は座って聴くスタイルのものです。

新卒の新入社員にとって、もっとも馴染みのあるスタイルとも言えるでしょう。

この形態のデメリットとしては、参加者が受け身姿勢や消極的になりやすい、という点が挙げられます。

 

  • グループワーク

こちらは少人数でグループを作り、一緒に課題に取り組むスタイルです。

自主性や自律性を養う上でも有効な方法であり、参加者同士の連帯感を作り出します。

また、チームワーク力を強化する上でも効果があります。

 

  • ロールプレイング

こちらは仕事で実際に起こりうる場面を設定し、新入社員に役割を振って疑似体験をしてもらうスタイルです。

研修で学んだことを実務で生かすには、「学習した内容はどのような場面で活用できるのか」について、研修中に具体的にイメージできるかどうかがポイントとなります。

できるだけ多くの場面を題材に取り入れることで、実際の業務への反映度が高くなる効果があります。

 

  • その他

他には、「課題提出」や「eラーニング」「合宿」「オンライン」などがあります。

特に昨今は、コロナ禍の影響で、オンラインでの研修を行う企業が増えていました。

ですが、今後は…?

 

秋田県内の企業でも、入社前研修をコロナ前までは「リアル×eラーニング」で行っていました。これは自宅でeラーニングを学習し、月に一度会社の会議室に来てもらってまとめの学習をする方法です。

しかし、コロナ禍の昨年までは「オンライン×eラーニング」で行っていました。

そして今年度からはリアルに戻るのかと思いきや、昨年までと同様に「オンライン×eラーニング」で行っているそうです。そもそも県外在住の学生たちは、リアルで研修を行っていた時代でも毎月会社に集まることが難しかったこともあり、引き続きオンラインでの形式を取っているそうです。

オンラインは、距離的なことを考えると、やはり便利なんですね。

 

 

【準備すること】

 

 

新入社員研修の具体的な内容が決まったら、実際にどのような準備が必要なのか確認しましょう。

社内で研修を行う場合と、外部に研修を委託する場合とでは、準備が大きく異なります。

当日ももちろん大事ですが、やはり事前の準備がモノを言います。

 

  • 社内で研修を行う場合

・担当者・各部署との連絡

 研修内容や日時の打ち合わせの他、行ってほしい研修内容についても要望があれば伝えます。

・研修場所を抑える

・研修内容の確認

 内容は、毎年少しずつアップデートしましょう。

 毎年同じ内容を行っていても、世の中はどんどん進むし、社内も世の中に対応すべく変わっていきます。研修内容もそれに対応していく必要があります。

・資料の準備

 これは基本的に、研修担当者が各自で作成することが多いようです。

・機材(プロジェクターなど)の準備

 使用する日時が決まったら、すぐに抑えましょう。

・研修を受ける新入社員への連絡(持ち物、集合場所、時間など)

 

  • 外部に研修を委託する場合

・予算

 新入社員研修の担当だけでなく、上司や経理担当とも相談して予算を決め、その予算内で実行できる新入社員のカリキュラムを組みましょう。

・外部のどこに委託するのかを決める

 どこに委託するかのポイントは「金額と内容と場所」だと秋田県内の採用担当者が教えてくれました。

 特に研修内容が、その支払う金額に見合っているのかどうかがポイントのようです。

 この委託先を検討しつつ、予算の相談をするとよいでしょう。

・会場を抑える

・委託先との連絡

 委託先を決めた時点で、研修内容は決まっているので、会場を抑える時間の関係上、時間の調整をしてもらうことも時にはあるようです。

 

★新入社員へ伝える、研修時の持ち物の例

・筆記用具

・メモ帳、ノート

・クリアファイル

・印鑑

・腕時計

・名刺ケース(名刺交換の練習に必要)

・スマホ

・スマホ充電器

・モバイルバッテリー

・ハンカチ

・ティッシュ

など

 

社内で研修を行う場合と外部に委託する場合の違いには、予算なども挙げられると思いますが、一番最初に学ぶ対外的なビジネスマナーは、教える人によってクセがあるので、基礎は、外部に教えてもらうのが良い、という意見もありました。

 

 

【注意すること】

 

 

当然ですが、新入社員研修は、実施すること自体が目的ではありません。

新入社員が実際の現場の業務で、実践・応用できるようになることが重要であり、そもそもの目的になります。

新入社員に覚えてほしい知識やスキルは、考えれば考えるほどたくさんあるように思え、あれもこれもと研修の内容に詰め込みがちで、時間がいくらあっても足りません。

新入社員に「今」身に付けてほしい知識やスキルを厳選して研修内容を決めましょう。

 

また、高すぎたり低すぎたりする目標設定は、大人でも同様だと思いますが、やる気が削がれます。最適な目標設定をすることが重要です。

 

また、過去に研修を受けた社員を対象にしたアンケートや、ヒアリングによる調査を実施するのもオススメです。

前年度の首尾や課題点を分析し、次回にアップデートするのです。

 

秋田県内の企業では、実際に新入社員を任せた現場の部署から「このようなことも教えておいてほしい」などの声があるため、「配属先からの声」を次年度の研修へと反映させているそうです。

 

 

※中途採用の社員は即戦力を求められます。そのため、研修には目標設定や業務に必要なスキル、事業概要の理解など実践的な内容が主になります。

仕事の進め方は企業によって異なる場合があるため、中途採用の研修で特に重要なのは、その企業の仕事の進め方を理解してもらうことです。

業務を進めるうえで考え方に違いがあると、力を発揮できなかったり、職場の環境に馴染めなかったりします。

業務の進め方に関する研修は念入りに行うことがポイントです。

 

 

【現在、新入社員研修の真っ最中の声】

 

 

現在秋田県内の企業で、新入社員研修真っ最中の、新卒の新入社員たちに話を聞きました。

20234月の入社で、そろそろ研修から一カ月になろうとしているホヤホヤの新入社員たちです。

 

「私は言葉遣いなどを意識して出来ていなかったので、社会人に入る前にきちんと学習できて良かったです」

 

「他の会社に入社した友人から、分厚いテキストだけポンと渡されて『読んどいて』と言われたという話も聞いていたので、それに比べると、この会社は研修があって本当に良かったです‼」

 

「報連相やマナーなど、くり返し学ぶところは本当に大事なところなので、インプットとアウトプットを繰り返して身に着けていきたいです」

 

また、県外の企業ではあるようですが、「研修が全くなく、何も教えられないまますぐに接客対応などの業務に就かせられたりしている」などの話もそこに就職した友人から聞こえてくる、という話も聞けました。

これは、すごく恐怖ですね~。この友人も、きっとすごく怖かったと思います。

 

 

【まとめ】

 

いかがでしたか?

即戦力のある人材を採用したい、とは思っていても、そのような人材は採用市場にはほとんどいないのが実情です。

新入社員研修は、新入社員が企業で働くうえでの土台となる重要な部分であり、新入社員の生産性や顧客との信頼関係に大きな影響を与えるものです。

 

新入社員研修を行う上で一番大事なことは、研修で学んだことをやりっぱなしにならないように復習させることだと、県内の採用担当者は言葉を強めます。

学んだときはわかったつもり、理解したつもりでいても、実際は分かっていないことが多いです、と。

だからくり返ししつこいくらいに大事なことは折に触れて復習する必要があります、と。

 

また、新入社員は何もわからないので、そのままでは本人も、わからないまま渡された現場もかわいそうです。コロナ禍で、アルバイトの経験も少ない学生が多いこともあり、採用担当者が当たり前だと思っていることと、どこがわからないのかを知り、そのギャップを埋めるのが新入社員研修の期間だと思います、とも。

 

社員が将来的に大きな戦力となるよう、きちんと育成していくために、新入社員研修について改めて研修内容などを見直しましょう。

 

 

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