【はじめに】
日本特有の制度と言われている新卒一括採用ですが、近年その制度が時代遅れで崩れかけていると、話題になっています。
この記事では、新卒一括採用のメリットとデメリットの他、「もし仮に、新卒一括採用が廃止になって、通年採用のみになったら」についても考えていきます。
【新卒一括採用とは】
新卒一括採用とは、例年、同時期に卒業見込みの学生を一括採用して、卒業後に入社させる採用方式のことを指します。多数の企業と学生が一斉に活動するのが特徴で、100年以上用いられてきた採用手法であり、日本特有の制度と言われています。
それは、日本特有の雇用システムである「終身雇用」や「年功序列」とともに、100年以上前から多くの企業で実施されてきた背景があるからです。
つまり、新卒一括採用は、終身雇用や年功序列型の評価制度といった長期雇用を前提として続いてきた制度なのです。
【新卒一括採用の現状と何が問題になっているのか】
そのような、長年日本で多くの企業に用いられてきた新卒一括採用が、今揺れています。
新卒一括採用の問題点が挙げられ、新卒一括採用は廃止になってしまうのか?という話題が、近年は特によく聞かれます。
では、何が問題になっているのでしょうか。
【問題点1】企業が留学中の学生などの就活時期を考慮した採用スケジュールを組むことができない
新卒一括採用は、日本国内の学生を対象としたスケジュールで実施しています。
そのため、卒業時期が違う海外の学校に通う学生を採用しにくいのが大きな問題と言えます。
自社が求める人材が、スキルを高いレベルで有した優秀な人材であったり、留学中の学生や海外の人材であったりする場合、従来型の新卒一括採用では採用は難しいでしょう。
【問題点2】就活ルール自体が有名無実化している
政府や経団連(日本経済団体連合会)はこれまで、在学時の就職活動による学業への悪影響を軽減させるために、「選考活動開始時期を遅らせる」「説明会や面接を解禁する時期をそろえる」といった就活ルールを定めてきました。
しかし、経団連非加盟の外資系企業やベンチャー企業はルールに縛られない独自の採用手法をとっていることや、経団連加盟企業がルールを破っても特に罰則などはないこと、などから、ルールはあるものの有名無実化しているのが実情です。
実質的な採用活動そのものとなっているインターンシップや、正式な選考・面接とはしていなくても、「面談」という形式で早期に学生に接触するリクルーター制度、といった採用活動を早期化している企業はますます増加しています。
【問題点3】新卒一括採用と深い関わりの「終身雇用」「年功序列」が崩れ始めている
現代は、労働力人口の減少やテクノロジーの発展による経験・スキルが時代遅れとなったりすることによって「年功序列」が成立しづらくなりました。
また、キャリアアップのために数年単位で転職することも珍しくありません。
このように、日本の雇用システムの柱とも考えられていた新卒一括採用と深い関わりのある「終身雇用」「年功序列」が崩れ始めたことで、「新卒一括採用も役割を果たさなくなるのでは?」という疑いが広がってきています。
【新卒一括採用のメリット・デメリット】
ではここで、新卒一括採用のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
メリット
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優秀な学生にアプローチしやすい
多数の学生からの応募を集められる可能性があり、優秀な人材を確保するチャンスを得やすいでしょう。
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採用コストの抑制につながる
新卒一括採用は採用活動の期間が限定されており、募集から内定まで短期間で済ませやすいです。
また、複数人の採用選考をまとめて実施できるため、効率的で、採用コストの抑制につながります。
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一斉に人材育成を実施できる
一括採用で入社した新入社員は、一斉に同じタイミングで、まとめて新入社員研修を受講させることができます。
そのため、教育コストを抑える効果も期待できます。
また、同期の仲間同士で高めあい、成長を促す効果も期待できるでしょう。
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採用ノウハウを蓄積して採用戦略に生かせる
毎年決まった時期に同じ流れの採用活動をするため、培ったノウハウを次に生かすことができます。
例えば「応募してくる学生にはどのような傾向があるか」「優秀な人材を確保する上で効果が高かった取り組みはどれか」などの傾向が分かり、更にさまざまなデータを継続的に分析すれば、今後の採用戦略を考えるときに役立ちます。
デメリット
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採用活動の負担が集中しやすい
新卒一括採用では、スケジュールが決まっているため、短期間で採用選考に関する業務を全て完了させなくてはいけません。
採用活動のピーク時には、採用担当者の業務負担が多くなってしまう傾向があります。
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内定辞退やミスマッチのリスクが存在する
自社が内定を出した学生が、他社の内定を優先して自社の内定を辞退するケースも考えられます。
もし内定辞退者が出た場合には、採用計画の見直しを求められるでしょう。
また、新卒者には仕事をした経験がないため、相性の見極めが難しい点も考えられます。
採用戦略をしっかりと練り、企業と学生のミスマッチを防ぐことが大切です。
【もし仮に、新卒一括採用が廃止になって、通年採用のみになったら?】
もし仮に、新卒一括採用が廃止になって、通年採用のみになったらどうなるでしょう?
少し考えてみましょう。
考えられえるメリット
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採用活動時期を自由に選択できる
新卒一括採用のみでは、スケジュールが決まっているため、限定的な採用期間で選考活動を行う必要があります。
しかし通年採用のみになった場合は、企業独自に定めた時期に採用活動を進めることができます。
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多様な人材と出会える可能性が高まる
今までは新卒一括採用期間に就職活動をしている学生としか接点を持てませんでしたが、通年採用になることで、今まで接触できなかった人材と出会える機会が増える可能性が大きくなります。
例えば、留学していた学生や既卒者など、新卒一括採用のタイミングが合わなかった人材などです。
考えられるデメリット
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他社の採用活動状況に左右される
通年採用では他社の採用活動時期も明確に決まっていないことから、学生が他社比較を常に行うことが予測されます。
そのため、なかなか内定承諾を決断しにくい場合や、内定承諾後に志望度の高い他社に決める場合などもでてくることが考えられます。
新卒一括採用と比較すると学生の動きが読みづらくなるでしょう。
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今以上の早期化・長期化の恐れがある
「早い者勝ち」の気持ちになって、他社よりも早く学生との接点を持つために、更に早期から動き出す企業が出てくるなど、早期化に拍車がかかることが考えられます。
その結果、新卒一括採用よりも長期間採用活動を行う必要が出てくる可能性があります。
では、学生側にとっては、いかがでしょうか。
学生側のメリット
・自分のタイミングで就職活動を行うことができます。
学生側のデメリット
・希望する企業が、学生本人の決めた就職活動時期に採用活動を行っているとは限りません。
そのため、学生にとっても今以上の早期化・長期化の恐れがでてくる可能性があります。
【まとめ】
通年採用とは、スケジュールの制約がないため、時期を限定せずに1年を通して採用活動を行い、新卒・中途を問わず自社が求める人材を採用する手法です。
採用担当者の負担が増え、コストが増大するデメリットがあるものの、優秀な人材の確保という点ではおすすめの採用手法といえるでしょう。
新卒一括採用は現時点で廃止になることは決定していませんが、経団連が発表しているように、徐々に現行の採用ルールから変化していく可能性はあります。
自社の採用を見つめ直し、いつ変化が起きたとしても、対応できるように準備をしておきましょう。
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