目次

はじめに

求職者にとって、その企業に応募するかどうかの大きなポイントになるのが求人票です。そして、企業の採用担当者が頭を悩ませるのもまた、求人票だと思います。

 

「苦労して求人票を作成したのに、応募者がこない」ということもあるでしょう。

それ、求人票の書き方を改善することで、変わるかもしれませんよ。

 

 

求人票に必ず記載すべき項目

 

まず、求人票に必ず記載しなければならない項目を確認しましょう。

※厚生労働省ホームページ「労働者を募集する企業の皆様へ」より

 

上記の資料は厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」の資料の中の、「最低限明示しなければならない労働条件等」についてです。

 

厚生労働局において上記の項目全てについて「原則として、初回の面接等、求人者と求職者が最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示すべき」とされています。

つまり、最低限記載が必要な項目ですので、一部が欠けていてもいけません。

 

ただ、「求人票のスペースが足りない等、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと書いた上で、労働条件の一部を別途明示することも認められています。

 

当然ですが、労働条件を実際とは異なる内容を記載してはいけませんよ。

 

近年、秋田県内で求人票NG事例がありました。

求人票に書かれていた「基本給」の額と、内定が決まった後に学生が企業から示された勤務条件の書類の「基本給」の額が違った、という事例です。その企業は、求人票の「基本給」の中に諸々の手当てを含めていたのです…!

※基本給とは「基本賃金」のことです。通勤手当や残業手当、役職手当、家族手当、インセンティブなどの各種手当てを含めてはいけません。

 

このようなことがあると、企業側にとっても求職者側にとっても、とても残念なことになります。

何よりもその企業に対しての信頼がなくなり、結果として募集ができなくなってしまいます。

記載内容に間違いがないように、注意して作成しましょう。

 

 

求人票の書き方改善ポイント【例文つき】

 

 

下に例文をいくつか挙げてみましたが、ポイントがいくつかあります。

 

・専門用語は使わずにわかりやすく書く。

・文字制限いっぱいまで具体的な情報を書く。

・できるだけ具体的な数字や事実を使って書く。

・求める人材を明確にする。

・検索条件を見直す。

など。

 

複数企業を比べた時に同じような勤務条件だったとしても、より分かりやすく、より具体的に丁寧に書くことで、求職者に安心感などを与えます。

 

 

【給与・報酬】

NG 

月給 190,000円~250,000円。経験や能力によって応相談。

 

OK 

月給 190,000円~250,000円。上記基本給に残業代・インセンティブを別途支給。

※残業代は100%支給しています。昇給賞与は年2(712)です。

【年収例】

400万円/26歳/入社3年目(月給28万円+残業手当+賞与+諸手当)

350万円/24歳/入社2年目(月給25万円+残業手当+賞与+諸手当)

 

⇒給与・賞与は年収例を併記しましょう。ステップアップが想像できるように複数の例があると良いですね。

 

 

【待遇・福利厚生】

NG 

・研修制度充実

・各種社会保険完備

・定期健康診断

・マイカー通勤OK

 

OK 

※試用期間3ヶ月(労働条件、待遇に変わりはありません)

・昇給:1回 ・賞与:2

・各種社会保険完備

・定期健康診断

・各種慶弔制度

・各種表彰制度

・マイカー通勤OK(無料駐車場あり)

・社員旅行

≪外部研修無料受講≫

入社時研修(ビジネスマナー研修や業界研修など)

中途社員向けフォローアップ研修

※入社時と3ヶ月目・5ヶ月目・10ヶ月目、計4回実施予定

リーダー研修

eラーニング研修

 

⇒待遇・福利厚生は各種手当をできる限り明記するのがポイントです。ウィズコロナ時代ならではの発信(マスクを社員に配布など)も魅力的です。また、社内外の研修内容・資格支援を詳しく明記すると良いでしょう。

 

 

【勤務時間・休日・休暇】

NG 

9:0018:00(実働8時間/休憩1時間)

《年間休日120日以上》

・完全週休2日制(土日)

・祝日・年末年始・夏期休暇

・有給休暇・慶弔休暇・育休・産休あり

 

OK 

9:0018:00(実働8時間/休憩1時間)

≪残業について≫

月平均残業時間は12.5時間。※残業代は1分単位で全額支給いたします。

≪年間休日122日≫

・完全週休2日制(土・日)

※定例会開催による土曜出社があります(会社カレンダーによる)

・祝日

・年末年始休暇

・有給休暇(計画有給休暇取得制度あり)

・特別休暇

・慶弔休暇

GW休暇

・産前・産後休暇(取得復帰実績93%)

・育児休暇

・介護休暇

 

⇒ふんわりした抽象表現でなく、できるだけ具体的な数字や事実を使って書くことがポイントです。有給休暇消化率など記載するのも良いでしょう。また、業務の時間の流れがわかるように書くのも親切です。

 

 

【選考について】

NG 

面接(予定1回)、書類選考

 

OK 

 [選考プロセス]

1.WEB エントリー

2.書類選考 ※選考後、メールにて(電話にて)ご連絡いたします。

3.一次面接 ※web面接可能

4.最終面接

5.内定

エントリーから内定まで、最短2週間前後で対応することが可能です。

 

⇒内定までの流れを明記するのがポイントです。求職者は、複数の企業を受けることが一般的です。求職者もスケジュールが組みやすいように、採用に係る日数の目安などは記載しておきましょう。

 

 

求人票で守るべき重要な決まり

 

 

ここで、求人票の書き方のポイントが分かったところで、重要な守るべき決まりを確認します。

これ、とても大事です。

どんなに「具体的に、詳しく」書くのがオススメだとは言っても、書いてはいけないことも、当然あります。

 

①年齢制限の禁止

事業主は「その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とされています。

例えば「35歳まで」など、年齢を制限することはできません。

年齢を制限することが認められているのは、以下の時のみです。

 

■定年がある場合で、かつ、期間の定めのない労働契約である場合に、定年年齢を上限として年齢制限をすることが認められる例外事由。
≪認められる事由≫

 ◯「定年が60歳の会社が、60歳未満の方を募集」

≪認められない事由≫

 ・期間の定めのある(=有期)労働契約である場合

 ☓「60歳未満の方を募集(契約期間1年。更新あり)」

 ・求人票における上限年齢と実際の定年年齢が一致していない場合

 ☓「60歳未満の方を募集(定年が63)」

 ・下限年齢を付している場合

 ☓「40歳以上60歳未満の方を募集(定年が60歳)」

 ・業務の習熟に一定期間が必要であることを理由に、上限年齢を下げている場合

 ☓「●●業務の習熟に2年間必要なため、58歳以下の方を募集(定年が60歳)」

 

■労働基準法などの法令において、特定の年齢層の就労が禁止・制限されている業務については、年齢制限をすることが認められる例外事由です。

≪認められる事由≫

 ◯「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」

 ◯「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」

 

■長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合に認められる例外事由です。

≪認められる事由≫

 ◯「35歳未満の方を募集(高卒以上・職務経験不問)」

 ◯「40歳未満の方を募集(要普通自動車免許)」

 (実務経験を有する資格でなければ、必要な免許資格を定めることも可能です)

 ◯「◯◯年3月大学卒業見込みの方を募集」

 (卒業念を記載し、新卒者のみを募集する場合は、年齢制限には該当しません)

≪認められない事由≫

 ・期間の定めのある(=有期)労働契約である場合

 ☓「30歳未満の方を募集(契約期間1年。更新あり)」

 ・職務経験を付している場合

 ☓「おおむね40歳未満の方を募集(ファイナンシャルプランナー1級保持者)」

 ・下限年齢を付している場合

 ☓「18歳以上35歳未満の方を募集」

 ・出生年などの条件を付している場合

 ☓「◯◯年3月卒業見込みであって、かつ◯◯年42日以降に生まれた方を募集

 

■技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合に認められる例外事由です。

≪認められる事由≫

 ◯「◯◯技術者として、3039歳の方を募集」(◯◯技術者は、20~29人が10人、30~39歳が2人、4049歳が8人)

≪認められない事由≫

 ・「30歳から49歳」の範囲におさまっていない場合

 ☓「◯◯技術者として、25~34の方を募集」

 ・年齢層が「5~10歳」を越えている場合

 ☓「◯◯技術者として、3549の方を募集」

 ・同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して2分の1以下となっていない場合

 ☓「◯◯技術者として、3039歳の方を募集」(◯◯技術者は、20~29歳が30人、30~3915人、40~49歳が25人)

 

■芸術作品のモデルや、演劇等の役者の募集・採用において、表現の真実性等のために、特定の年齢層の労働者に限定して募集・採用することが認められています。

≪認められる事由≫

 ◯「演劇の子役のため、◯歳以下の方を募集」

≪認められない事由≫

 ・特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供等が目的であり、芸術・芸能の分野に該当しない場合。

 ☓「イベントコンパニオンとして、29歳以下の方を募集」

 

60歳以上の高齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。また、特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇い入れ助成金等)を活用するため、その施策の対象となる特定の年齢層に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。

≪認められる事由≫

 ◯「60歳以上の方を募集」

 ◯「(特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象者として)60歳以上65歳未満の方を募集」

≪認められない事由≫

 ・60歳以上の高齢者を募集・採用する際に、上限年齢を付している場合

 ☓「60歳以上70歳以下の方を募集」

 ・募集・採用する年齢層が国の施策の対象となる特定の年齢層と異なる場合

 ☓「(特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象者として)55歳以上65歳未満の方を募集」

 

上記以外では認められませんので、注意しましょう。

 

②性別による差別の禁止

 例えば「看護婦」や「営業マン」。こちらは前者が女性、後者は男性を彷彿とさせます。

「看護師」「営業スタッフ」などと記載しましょう。

「女性歓迎」などの言葉もNGです。

 

③障がいなどの差別の禁止

募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、障がい者であることを理由とする差別が禁止されています。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

自社の求人票を再度確認してみてください。求人票の記入できる文字数は制限がありますが、その文字数をギリギリまで埋めて、思いっきり自社をアピールしましょう。