【はじめに】
ユースエール認定企業とは、若者の雇用促進や働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組む企業を厚生労働がする認定制度です。
若手社員の労働時間、休暇などの厳しい基準をクリアした企業が対象となり、就職活動中の若者や転職の方のために安心して働ける企業選びの目安となります。
本コラムでは、ユースエール認定の取得条件や実際のメリット、企業がこの認定を目指す理由について詳しく解説します。
【ユースエール認定認証とは】
ユースエール認定制度は、厚生労働省が2015年に制定したもので、若者(新卒や既卒3年以内)の採用や育成に力を入れている中小企業を対象とし、雇用管理の状況が特に優れている場合に国が認定する制度です。
「ユース」は若者、「エール」は応援を意味しており、若年層の雇用促進と働きやすさの向上を目的としています。
ユースエール認定制度が導入された背景には、少子化による約労働人口の減少や、若年層の早期離職率の高さが挙げられます。
特に新卒の3割が3年以内に離職する現状、また氷河期世代など非正規雇用からキャリアをスタートさせても大丈夫だった若者への支援に取り組むため、若者が安心して働ける職場づくりを推進するために制度が創設されました。
人手不足になりがちな中小企業に対して、全国認定企業の採用力や認知度を高めているのです。
【認定を受けるための主な条件】
中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)のうち、以下の認定要件をすべて満たすものが対象となります。
[1] 学卒求人※1など、若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っていること※2
[2] 若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること
[3] 以下の要件をすべて満たしていること
・直近3事業年度の新卒者など※3の正社員として就職した人の離職率が20%以下※4
・「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること
・前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと
・前事業年度の正社員の有給休暇の年間付与日数に対する取得率が平均70%以上又は年間取得日数が平均10日以上※5
・直近3事業年度で、男性労働者の育児休業等取得者が1人以上又は女性労働者の育児休業等取得率が75%以上※6
[4] 以下の雇用情報項目について公表していること
・直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数
・研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定の制度の有無とその内容
・前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)、役員・管理職の女性割合
[5] 過去に認定を取り消された場合、取り消しの日から起算して3年以上経過していること
[6] 過去に[7]から[12]までに掲げる基準を満たさなくなったため認定辞退を申し出て取り消した場合、取消しの日から3年以上経過していること※7
[7] 過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと
[8] 過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと※8
[9] 暴力団関係事業主でないこと
[10] 風俗営業等関係事業主でないこと
[11] 雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと
[12] 重大な労働関係法令違反を行っていないこと
※1 少なくとも卒業後3年以内の既卒者が応募可であることが必要です。
※2 正社員とは、直接雇用であり、期間の定めがなく、社内の他の雇用形態の労働者(役員を除く)に比べて高い責任を負いながら業務に従事する労働者をいいます。
※3 新規学卒者を対象とした正社員求人または採用枠で就職した者を指し既卒者等であって新卒者と同じ採用枠で採用した者を含みます。
※4 直近3事業年度の採用者数が3人または4人の場合は、離職者数が1人以下であれば、可とします。また直近3事業年度において新卒者等の採用実績が無い場合、他の要件を満たしていれば本要件は不問となります。
※5 有給休暇に準ずる休暇として、企業の就業規則等に規定する、有給である、毎年全員に付与する、という3つの条件を満たす休暇について、労働者1人あたり5日を上限として加算することができます。
※6 男女ともに育児休業等の取得対象者がいない場合は、育休制度が定められていれば可とします。また、「くるみん認定」(子育てサポート企業として厚生労働省が定める一定の基準を満たした企業。プラチナくるみん、トライくるみん、プラスを含みます。)を取得している企業については、認定を受けた年度を含む3年度間はこの要件を不問とします。
※7 [3][4]の基準を満たさなくなったことを理由に辞退の申出をし、取り消された場合、取消しの日から3年以内でも再度の認定申請ができます。
※8 離職理由に虚偽があることが判明した場合(実際は事業主都合であるにもかかわらず自己都合であるなど)は取り消します。
(出典:厚生労働省「ユースエール認定制度」より)
これらの基準を満たすことで、職場環境が良好な企業のみが認定される仕組みとなっています。
【特典】
認定を受けた企業には様々な特典があります。
- ハローワーク等でPR(広報活動)を重点的に実施してゲット
- 認定企業限定の就職面接会への参加が可能です
- 商品や広告などに認定マークが使用できる
- 日本政策金融公庫による低利融資が利用できる
- 公共調達(官公庁の発注等)での加点評価
- 一部地方公共団体における優遇措置
これらの支援により認定企業は、採用力の向上や資金調達の利点、企業イメージの向上など多方面のメリットを享受できます。
【課題】
ユースエール認定制度にはいくつかの課題や継続も指摘されています。
認定のハードルが高くて、中小企業本来の人の手や体制によっては認定基準を満たすのが難しい場合があります。
年度ごとに労働時間や有給取得率、離職率等の危機な管理・情報公開が必要となり、管理コストが上昇します。
職場環境を側面的に整備しただけで現場が伴わない場合もあり得るでしょう。
このため、実際には申請する前に自社の労務管理体制や職場環境を見直さなければならないケースも多く、申請・維持の手間が負担に感じられる企業もあります。
【申請方法と認定までの流れ】
認定を希望する企業は、必要約書類を定める所のハローワークまたは都道府県労働局へ提出します。
書類には、「基準適合事業主認定申請書」や各種報告書・誓約書などがあります。
申請後、1ヶ月ほどの審査期間を経て、基準を満たしていれば認定書と認定マークが渡されます。
認定基準を満たしていれば認定が取り消されるため、日ごろから労務管理体制を維持する必要があります。
【まとめ】
ユースエール認定は、若者の採用・育成に積極的な中小企業にとって、自社の魅力を発信する絶好のチャンスです。
実際に認定を受けている企業では、採用広報の強化により若者の応募が増加し、社員の定着率が向上した、社内の労働環境整備が進んだなど、プラスの効果が報告されています。
また、認知度の向上や労働環境の整備、中小企業における人材確保や職場の質向上につながっています。
少子化が進む中、優秀な若手人材を確保するためにも、ぜひ一度、ユースエール認定制度の取得を前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
関連記事
コラム「COURSE2025掲載企業を募集中!【COURSE2024読者「高校2年生の声」】」
コラム「【「秋田採用勉強会」開催レポート】秋コアの先生に聞く!~最近の専門学生が注目する企業の傾向と、就職活動のリアル!~」
コラム「【多くの社員が「電話に課題」】4月2日開催「合同新入社員研修」レポート」
も、参照ください。
また、秋田採用サポートナビでは、秋田県内の企業様の採用サポートを実施しています。
・採用活動を成功させるための必須ツールが知りたい
・採用計画を立てることが大事なのはわかるが、どうしたらいいのか分からない
・相談できる人がいないので、自社の採用のやり方が合っているのか不安
など、些細なお悩みでも大歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。